瞑想心理カウンセラーリッカのつぶやき

決められないとき、自分の気持ちがわからないとき。あなたの本心をカウンセリングと誘導瞑想で一緒に発見します。

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長男 とり介 [ウツボ]

課題の家族との関係を振り返る。

ジカの2歳下の弟 とり介(とりすけ)について。

 

こちらの弟とは、ジカの記憶がないうちからいつも一緒にいた。小学校低学年まで、二人で遊び続けた。

とり介は、自己主張をあまりせず、物静かなタイプであった。我の強いジカの一番側にいたから、一番損害を受けていたともいえる。

 

ジカは、シルバニアファミリーが好きだった。自分の部屋に、集落をつくる。外れにある一軒家。怪しい洞窟を見立てた棚の隙間。学習机は領主の城であった。

その平和な村に、とリ介が所有するガメラシリーズの怪獣が襲撃してくる。特にギャオスは最強で、一瞬で数軒の民家を破壊し飛び去って行く。まず、村を守るためにウサギ達が、手を尽くす。何やかんやあって(この辺りの理由は毎回違う)、村人の有志が立ち上がる。

ギャオスが飛来してくる、とり介の部屋「隣の国」へ、遠征準備を整えた選ばれし村人達が旅立つ。隣の国は、トミカシリーズの車が乗り捨てられ、荒涼としている一方、機械文明が発達している。僅かだが機械と怪獣に隠れるようにして人々が暮らしている。人々の協力を経て、村人達はギャオスを操る元凶の元へ潜り込み対峙するのである。

といった遊びをするために、家々の配置から、家具、小物のセットに数日をかける。今回の主役村人、それを取り巻く人間関係を二人で話し合って決め、シナリオを終えるまで数ヶ月クールで行っていた。

ジカの提案をとり介はすんなり受け入れた。しかし、言いなりではなく、アレンジをどんどん加えて行く。村人同士の掛け合いが面白くできたら、二人でひとしきり笑う。そんな遊びをずっとしていた。二人で遊ぶには、他者の介入は不要であった。

 

当然の如く、思春期の訪れとともにこの二人遊びもあっさりと終わる。

ジカはひたすらインドアの趣味を極める。とり介は野球に打ち込む。どちらかが、ゲームをしているときに横で眺めることはあったが、一緒に遊ぶことはなくなる。

 

とり介が中学生の頃、唐突にジカに伝えてきたことがある。

「ジカみたいな性格の人とは、ぜったい、ぜったいに結婚できない」

とり介の後ろで小学生の竹蔵が「そう、ほんと、そう」と合いの手をいれている。

ジカは「姉弟なのだから気持ち悪く思うように出来ているはずだが」と思いながら聞き流した。とり介が伝えようとしたことを、正確に受け取ろうとしなかった。

 

とり介は、物静かだが、聞かれれば面白い冗談や気の利いた返答をしてくる。他者を不快にさせるようなことは、決して言わなかった。

ジカは違った。思ったことをズケズケ、ズカズカととり介に伝えた。とり介は怒ると、力任せにドアをしめて立ち去ることが多かった。

実家は家業に忙しく、家の中はとても乱雑な状態だった。祖母のトチコは衛生観念があまり無く、掃除をすると別の部屋が散らかるという超能力の持ち主だった。

掃除機を扱えるサイズに成長したジカととり介は、二人で家の掃除をよくしていた。こまめにするというより、一気に大掃除をする。冷蔵庫の賞味期限の切れた食材や調味料を確認して処分する。不要品が山になっている棚や部屋を片付ける。

ジカ一人では出来ないことも、とり介が一緒ならどんなことでも立ち向かうことができた。

 

とり介は、母のあらゆる良いところを引き継いでいた。骨格のしっかりとした細身の体、まあるい額と形の良い後頭部。誰から継いだのかわからない、長く濃いまつ毛。ジカが欲しくて仕方のなかったもの全てが、とり介にいってしまったようだった。

また、とり介の中間子特有の距離感を、同じ中間子である母も気に入っていた。いや、間違いなく3人姉弟の中で、一番のお気に入りはとり助であった。

ジカが腹が痛いといっても、転がされて終わるが、とり介が言おうものなら、お腹に良い食べ物一式、寝床を整え、定期的な見守りが提供されていた。理由は、ジカと違って、体調不良の訴えが稀だから。

 

その一方で、家族の思い出を話すときに、とり介はその場にいたのかと議論になることがある。部活でいなかったか、その場にちゃんといたけれど存在を皆忘れているかのいずれかだった。

とり介が一度だけ、不満をこぼしたことがある。祖父のみっちゃんが亡くなる少し前、とり介の名前が思い出せず「ジカの下の、竹蔵の上はなんていったかな」と話しているのを聞いてしまったという。あの時はすごく傷ついたと、とり介は珍しく悲しそうにしていた。ジカは、とり介も情緒的なことを考えることがあること。そして、みっちゃんを慕う気持ちを持っていたことに驚いた。

 

PERFECT HUMANを覚えているだろうか。

2016年の冬。ジカは、振袖を着て親族席に座っている。舞台では、十数名の同僚に囲まれ、とり介がナカタ氏になりきっている。集団行動が得意な業種ゆえ、動作は皆揃っている。揃いすぎている。ジカと従姉妹のメゴは、とり介が高砂から走り出しながらサングラスを掛けた瞬間に「新郎が余興をやるのか」と同時に突っ込みを入れた。

そして、ジカ達は安心した。飄々としながら、どこか機械的なとり介は、職場でも同じように自由に過ごしているのだなと。言うほどパーフェクトでもないけどなと思いながら。

 

とり介は、心理学講座の「家族の役割」でいうなら、間違いなく”傍観者”である。

冷静で、全体を眺めている。その分、他者と距離がある。

そうだ、母のピンチもジカが途方にくれていたときも、誰かが何か言わない限りとり介が行動をすることはない。その一方で、荷物はいつも持ってくれるし、祖母カヲが病院に運ばれたとき、ジカ達は手ぶらであったが、大学から直接やって来たとり介だけがお見舞いの花束を用意していた。

 

とり介は、自身と同じ静かで穏やかに話すお嫁さんと家族を作った。悪夢のようなセンスの持ち主であるとり介が、真緑色の星が彫られたベルトをつけていてもお嫁さんは口出しなんてしない。ジカが「また変身ベルトつけてきたの」と驚いて聞くと、とり介は満足気に頷く。その横で、お嫁さんがかなり渋い表情で、ジカとジカ母に目配せをするのである。

 

実家では傍観者であったが、自分で作った家庭で傍観者でないのなら、十ニ分であるし最高だとジカは思うのだ。

 

 

(書いてみて、弟ズに対する自分の思いがことのほか分厚くて驚いた。どうでも良い補足だが、シルバニアファミリー遊びでは、ジェニーちゃんも女神として物語の佳境に参加していた。女神は皆の心の支えだけれど、出現ポイントから動けないので、ギャオスと直接対決できない。自分達でなんとかしないといけないという覚悟を与える役だった。どうしよう、心理学の課題や学びと全く関係ないことばかり書いてしまった)